「女性の活用」を会社の成長に繋げるために

 現政権が推進していることもあり、昨今では「女性の活用」を考えることが当たり前になってきました。

 新入社員として女性を積極的に採用する、また、既存の女性社員を起用する、など、やり方は様々ですが、中小企業でも女性の活用に前向きな会社は多いと思います。実際、私が以前勤めていた会社も、現在アドバイザリーで関わらせていただいている会社の一社も、「女性の活用」を社の方針のひとつとして打ち出しています。

 同時に、そうした方針を受け入れる現場が混乱することも少なくありません。私自身が前職で、「女性の活用」の掛け声とともに男性主体の現場に投入された側だったのですが、現場の戸惑いを肌で感じることがありました。

 会社が女性の活用を考える時、理由としてまず挙げられるのは「女性ならではの視点を活かす」といった内容です。そうした中で、女性は、「お客様に対するこまやかな気遣い」や「デザインセンスのよさ」などを求められることが多いのですが、ここで女性が求められるべきものは、それまでその現場に欠けていたものではないでしょうか。例えば、お客様満足度の向上を目的とし、女性のきめ細やかな接客に期待するのであれば、本来は既存社員がその感性を持ってサービスを行わなければならなかったということです。つまり、女性社員を投入するだけで状況が劇的に改善するというようなことはありません。大切なのは、その時に女性社員が改善した方がいいと感じた点を、既存社員すべてが共有し、改善に取り組むことです。決して、女性社員に問題の解決を丸投げしてはいけません。

 また、個人の資質があるように、女性社員にも向き不向きがあります。すべての女性が接客やデザインが得意なわけではありません。中には、向いていない人もいます。そうした人に、「女性だから得意だろう」という先入観で不向きな役割を担わせると、仕事の効率を著しく低下させることになります。

 女性社員も男性社員も、同じ会社の社員ということに変わりはありません。色眼鏡で見ることなく、本人の資質に合った役割を担わせ、適切にサポート・ケアしていくこと。それがあってはじめて、女性の新たな視点が活き、会社の発展へと繋げていくことができるのではないでしょうか。

(2016/8/1)

スタッフコラムバックナンバー

コラム執筆者:伊藤小由美

伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリースタッフ。前職は青果流通業で、在庫管理・営業・内部監査等経験してきました。スタッフコラムでは日々の活動を通して感じたことを紹介していきます。